稲妻

湖面を渡ってきた風が吹き渡り
髪の毛がさらわれる
辺り一面に響く歌声
集った人々の身体を揺らし振るわせ
隣の人が普段どこで何をしているのか
まったく知らない
ただ分かるのは目の前の
この歌声を共有していること
刻まれるリズムに身を任せ
胸を打たれるままに
手を振り 拳を上げていること
祈るように聴き入っていること
はち切れそうな熱狂を内に秘めて
日々を暮らしていること

伸びやかな歌声が風にほどけ
それぞれの帰路に着くとき
足取りがあかるく夜道を彩る

2023/10/09
イナズマロックフェスに行った詩。