ここへ、とても待っていた
おとないを 今
降り注がれて ようやく
わたしの戦いが幕を下ろす
何をどうやって呼吸してきたのか
薄れた肺で過密な街を通り抜けた
突然、与えられた生命体として
思うように使いこなせないまま
月日は過ぎ行き なおも
生命体としてあり続ける
想いには実態がないから
いつだって噛み合わない
空回りする言葉が宛先を失って
そこら辺を浮遊していく
そうして大気に溶ける
生身で世界と向き合う、しか方法がなくて
ただ一言を焦がれていた
こんなに存在しているのに
これほどに隠れていて
薄まる呼吸
同じ属性を探しても見当たらなくて
周囲に揃えるため
分かりよい薄布を被せられた
それでも、わたしはこうして在る
ここで、とても待っていた
おとないが 今
この身に染み込んでゆき
たしかな響きが
背骨をまっすぐにする
薄布は背中から落ちていく